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遥 洋子 「死にゆくものの礼儀」

今年の5月に義母が亡くなった時、死とどう向かい合うべきかについて、考えたり気づかされたりすることがありました。
また、少し前に母に借りて読んだ雑誌「いきいき」の中で、遥洋子さんがインタビューに応じていた記事を読んで、この本を読んでみたいと思いました。

死にゆく者の礼儀
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遥さんは末っ子で、お母さんが高齢で生まれたため。、20代の頃から両親の「老い」を意識しながら生きてきたそうです。
お父さんとお母さんをまだ自分が若いうちに見送った経験をもとに、よい老い方、よい死の迎え方について書かれています。
自由奔放に生きた父親と、夫や子どものためと我慢し続けた人生を送り、好きなことも見つけられず好きに生きることができなかった母親。それぞれの老い方、介護、死の状況などが包み隠さず書かれていて、理想ばかりを追っていないところに共感を覚えました。

いくつか、印象に残った文章があったので、書き留めておこうと思います。

・老後の筋力は、若い人の自立と似ている。自立できたからといって、やりたいことがなければ、自立そのものが目標になってしまう。やりたいことがあって、それをなし得るために自立という手段があるのだ。自立はそれだけでは価値を持たない。やりたいことがあって初めて意味を持つ。

・若い時、自分の命を粗末にしがちなのは、その命を育むためにどれほど親が心血を注いできたかの自覚のなさがそうさせる。命は自分ひとりのものだと思いがちだが、その命はみんなの命なのだ。それが、若いから分からない。
老いて、自分の命を粗末にするのは、その命を大勢の人たちに救ってもらった自覚のなさがそうさせる。人生を自分の力で築いた記憶が「この命どうしようと自分の勝手」と思わせる。だが老いてからは、皆にもらった命なのだ。それが、老いているから分からない。
子を育てる世代と、親を看る世代が知る、命の大切さ。
命の大切さは、若い時には気付きにくく、老いては忘れやすい。

・人生とは記憶の積み重ねだ。(中略)人生の質は、死の直前にいい人生だったと思えるかどうかで決まる。
自分のありたい人生を生きるということは、自分の命への礼儀ではないのか。
この世に生まれた感謝は、その生を生ききることでしかない。見事に生ききった人生の残像は次なる子供たちへの最上のプレゼントであることに、どれほどの人が気づいていよう。

・人生を好きに生きるのは、一見勝手気ままに聞こえるが、実は力がいることだ。

・子育ては辛抱であってはいけない。子育ても含め、いかに幸せに向かって努力したかを子に見せることは、食べ方や服の着替え方を教えることと同様に大事だ。
完成度ではなく、完成に向かっての走りを見せる。それが生きる“力”だ。
やがてそれは、老いたときに自分を支える“力”にもなり、見送る人の背中を押す“力”にもなる。

・老いは、その人が作ってきた体と、作ってきた環境の、総決算だ。
家族がいようがいまいが、その人の歩みが人生のラストで自分に跳ね返る。
私が哀れもうが哀れまいが、その人が作った体の責任をその人が背負っているのであり、その人が作り上げてきた人間関係が介護の姿を決める。

・老いは急には作れない。早く気づき、早く準備をし、努力する。そういう老いの先取りをしてきた人が、「そら、次はお前の番だ」と命のバトンを次世代に手渡せるのだ。

・百点満点の介護はない。

・死は、見送る側にこそ、その意味がある。(中略)よい死とは、残された人がそこからの人生を再び歩みだそうとできる、そんな死だ。
よい死は、よい生からのみ生まれる。
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by monsteracafe | 2010-10-12 15:59 | Life style | Trackback | Comments(2)
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Commented by スノウ at 2010-10-13 14:18 x
産後一ヶ月を過ぎましたが、たいちゃんともどもお元気そうでなによりです。

遥さんの本は、一時期よく読んでいたのですが、この本は初めて知りました。私も早速読んでみたいと思います。

年老いても命の大切さを「忘れないように」していくこと。
老いは、人生の総決算ですね。本当に・・・。
身内に高齢者が多いので、色々考えさせられる本のようですね。

それにしても、産後すぐにこんな本をお読みになれる気力がすばらしいです!!
Commented by monsteracafe at 2010-10-13 17:05
〉スノウさん
ありがとうございます。
家族みんな、元気に過ごしています。

この本は、数ヶ月前から図書館に予約していて、出産後、ようやく借りられて一気に読みました。
大抵はたいちゃんと布団で横になりながら読んでました(笑)
いつか来る自分の両親のことや、自分自身のこれからの生き方を考えさせられる良書だと思いました。
購入して、時々読み返したい一冊です。
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