小川 糸 「つるかめ助産院」

ポンすけを出産した時、産院でお世話になった助産師さんのことがとても印象に残っていて、「助産師」という仕事に憧れを感じたことがあります。
今では少ないけれど、自宅や助産院で産む、という方法もあると知り、とても興味を持っていたのですが、やはり2人目も同じ産院で出産しました。
(2度目の出産でお世話になった助産師さんとは、経産婦だったのであまりお世話やサポートをしてもらえず、少しほったらかされ気味で、相性が合うとは思わなかったけれど。)

先月読み終えた、「食堂かたつむり」の小川糸さんの作品、「つるかめ助産院」は、沖縄のある島で助産院を開業している女性と偶然出会い、様々な事情から、そこで過ごすことになった女性、島の人々との交流を丁寧に描いた作品でした。

予想外の妊娠を知り、今の自分が産んでよいのかどうか迷いながらも、前向きに出産する道を選んでいく、主人公の女性・まりあは、自分の出生について、人には言えない深い心の傷を追っていることが途中で明らかになります。
しかし、「世界で一番快適な助産院を作ろう」としている、いつも明るく元気な先生も、一緒に働く女性(ベトナムから働きに来ている“パクチー嬢”と呼ばれている女性)も、そこに集まる島の人々にも、皆それぞれ、何らかの問題を抱えながら生きていることが分かってきて、それぞれの心や魂の交流によって、“見えない絆”で結ばれていく様子が描かれています。

助産院では、どれ1つとして同じパターンのない、それぞれの女性の妊娠の経過や出産(中には死産などの悲しいことも)があり、主人公の女性の眼を通じて語られる、状況や感情などは、私自身の妊娠・出産その他の経験のことが思い出されるほど共感・理解できるものでした。

 *****

ただ、この記事を書くために、amazonのレビューを読んでみて、私が感じているよりも、この作品の評価が低いことに驚きました。

ネタバレになりますが、確かに、冒頭から夫が突然失踪してしまう(「食堂かたつむり」でも、同棲していたパートナーが突然財産を持ち逃げしていなくなる、という設定だったので、この設定好きだなぁとは思いました)し、登場人物たちの歩んできた人生の設定が少し強引だったりするし、最後に島で出産しようとしている妻のところに、何故か突然失踪した夫がやってきて、産後、生まれてきた子どもと3人で島を後にする、というのは唐突だったし、夫が失踪した理由が全く説明されていなくて、私自身の感想としては、この部分だけは要らなかったかなぁとは思いました。

でも、実際に妊娠・出産した私が読んでみて、共感して感動して泣いてしまった部分も多く、私は自分の体験をよりはっきりと覚えておいたり、忘れずにいたりするためにも、娘たちにいつか伝える意味でも、この作品は
私にとって、「これからも何度も手に取って読み返したい1冊」だと思います。
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by monsteracafe | 2012-06-21 00:39 | refreshのために | Trackback | Comments(0)
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