映画「
スープ・オペラ [DVD]」の原作、阿川佐和子さんの「
スープ・オペラ (新潮文庫)」を先日、読み終えました。
主人公ルイが暮らす元叔母(トバちゃん)の家に、ひょんなことからトニーさん、康介という男性2人が同居人になることに。
その経緯や3人を中心に起きる日々の出来事を描いているのですが、全体的に劇的な変化はなく、ほのぼのとした温かい雰囲気が漂う1冊。
この3人の交流を通じて作者が描きたかったのは、最後のあたりのトニーさんの台詞や、ルイ自身の言葉に凝縮されているような気がしました。
「人間ってのは弱いからさ。結婚とか会社とか肩書きとか派閥とか、親子とか兄弟とか。名称をつけて区分したがる習性があるんだな。そうしといたほうがどこに属しているかわかって安心できるからさ。でも本当はそんなもん、必要ないんだって。メダカを見てみろ、鮭を見ろよ。どいつが自分の子供で、どいつが母親か父親か、どれが他人かなんて、関係なく生きてるだろ。それでいいんだよ。どこの誰であろうと、毎日を充実させて生きていくことのほうが大事なんだよ。」
「人間と人間の出会いというものは、そこに恋愛感情とか特別の感情が付随しない場合でも、あるいは関わった期間がどれほど長くても短くても、それには関係なく、人生にとってかけがえのないものになる場合がある。」
今度は映画(DVD)の方も見てみたいと思います。ちなみに、ルイは酒井真紀さん、叔母のトバちゃんは加賀まりこさんが演じています。